2023年7月2日 聖霊降臨節第6主日礼拝

2023.0702.Syuuhou

聖 書  ローマの信徒への手紙14章13~23節

説 教  食べること、飲むこと

 ローマの信徒への手紙を連続講解説教しています。今日は第58回目です。ローマの信徒への手紙のテーマは、信仰による義認と聖化です。これは信仰によって義とされる。救いにあずかるということです。罪赦され、神の子とされる。永遠のいのち、神の国のいのちにあずかるということですね。

 信仰とは、神と共に生きるという決断です。今まで、神以外のものに目を向けて生きてきた。神を信じ、神の栄光を現すために生きようと志す。ここから今までと違う生き方が現れる。生き方が変わるのです。これを「新生」と言います。ホーリネスでは、新生、聖化、神癒、再臨が四重の福音です。キリストによって新しくされた。その信仰の実践的な生活です。自己中心の生き方、すべての規範は自己にありました。神を中心にする。み言葉によって生きる。価値観が変わることです。神の視点により、その法に則って生きる。生き方の転換です。

 キリスト者の生涯がここから始まるのです。

 この新しくされた生き方。その実践的な生き方が12章から説き明かされているのです。いままで諄々と説教に取り上げてきました。 

本日の聖書箇所です。14章13~23節

小見出しは、「兄弟を罪に誘ってはならない」とあります。罪に誘うとは、誘惑です。また、躓きといってよいでしょう。「躓かせてはならない」のです。教会は躓くことに満ちている、そのように言ってもよいでしょう。13節ですね。

 従って、もう互いに裁き合わないようにしよう。むしろ、つまずきとなるものや、妨げとなるものを、兄弟の前に置かないように決心しなさい。

 では、具体的にどのような躓きがあるのか。以下、思うままに挙げてみます。

1.躓きのもとになるものについて

①趣味の問題 

テレビ、映画、スポーツ、音楽、楽器(ピアノ、オルガン)、旅行。自動車。

ひとつひとつ、好みがあり、各人には違いがあります。

  どのようなテレビ番組を見ているか。どのようなジャンルの映画が好きか?

   一日中、テレビの前にいて、テレビを観ている。時間つぶし。年配の方が多いのではないか。スポーツとの関係で、神学生の時、ホーリネスの牧師でプロレスファンがいました。テレビの前でかじりついてプロレスの番組を見ている。しかも、「ヤッツケロ」、「ケットバセ、もっとナグレ」。熱心に見ている。その牧師は、ホーリネス弾圧で獄中を経験した敬虔な牧師です。プロレスを見るのが趣味なのです。

  映画にしても、暴力団の映画を好む牧師や信徒の方もおられますね。

時代劇、復讐劇。暗殺劇。

  

 旅行。毎年、外国旅行をする人。一流のホテルに宿泊。

 分相応というのがあります。派手にならない。好きずきがあります。

②態度、言葉遣い、目つき、差別、偏見、職場、学歴

  つまずきとなるものは、たくさんある。ことばのひとつ、仕草、目つきで感じるひとがいます。敏感な人・・・

相手の感情を読み取る際、言葉以上に重要になるのが、表情やしぐさなどの態度に表れる部分です。ノンバーバル・コミュニケーション(non-verbal communication)と言います。言葉によらない、つまり非言語コミュニケーションと呼びます。

目の表情、言葉遣い、態度、腕を組む。

 「態度が悪い、冷たい」と批難されることがあります。

③伝統、文化

 人によってはつまずきとなる。家庭訪問をしたら、その家にりっぱな仏壇がある。神だなもおいてある。神社、仏閣、つまり寺社巡りが趣味のクリスチャンもいます。仏像鑑賞、寺の庭園巡り。これらは日本の伝統文化ですが、異教の教えに基づくものです。人によって、躓きの下になる可能性があります。

 おみくじを引く。占い、星占い、カード占い。ゲーム感覚のようなもの。他愛のない趣向と考えがちですが、これも躓きのもとになることもありますね。

 哲学、文学、心理学などの研究、読み物。雑誌は罪だというクリスチャン、牧師もいます。

  わたしのことで恐縮ですが、哲学、思想について読書していました。とくに、ニーチェ  ですね。「神は死んだ」と主張した哲学者です。ニーチェは、牧師の息子です。

④食べ物、飲み物

酒、たばこ、肉、うなぎ、豚。旧約聖書では、うなぎ、豚は汚れた動物です。食べてはならないものです。イスラム教は、豚は一切食べませんね。

健康志向の問題もあります。「玄米ご飯、健康にいい」と人に勧める。しつこいくらいに。

しかし、人によっては「消化に悪い」からと食べない。人によって違う。

  比較する人がいます。

ぶどう酒、ヨーロッパとくにフランス人は、子どものころから水がわりにワインを飲む

と言われます。酵素の問題があるかもしれません。

 

 21節に

肉も食べなければぶどう酒も飲まず、そのほか兄弟を罪に誘うようなことをしないのが望ましい。

 とあります。しかし、ローマ書を記したパウロは、別の手紙には次のように記しています。テモテへの手紙一 5章 23節です。

これからは水ばかり飲まないで、胃のために、また、度々起こる病気のために、ぶどう酒を少し用いなさい。

「つまずきを与えるから飲まない。食べない」という人もいます。また、「自分の好みは変えない」という人もいます。本当にいろいろな人がいるのです。

韓国 牧師は禁酒が当たり前。尊敬されています。先週、迫害のことを申しました。迫害があったとき、真っ先に迫害に遭うのです。しかし、信徒がいないところでは、飲酒するのです。表と裏がある。そのように非難されるかもしれません。

 

「つまずきを与えない」ために、禁酒しているのです。

 

2.神の国、救いとは

  17節

 神の国は、飲み食いではなく、聖霊によって与えられる義と平和と喜びなのです。

食べること、飲むことは、神の国に入るために条件ではありません。信仰の契機が重要なのです。それは、イエス様の十字架の贖いがわたしの救いという信仰で十分です。最初に申しましたように、そのことによって生まれ変わった。そのわたしの新しい生き方は、どこに向いているのか。それが大切なのです。

第一 神とわたしの関係

第二 忍耐し、相手のことを考え、重んじること。尊ぶこと。

    

笹尾鉄三郎牧師(1868年~1914年)のこと 

 いまの三重県出身の伝道者です。生まれつきからだが弱いかたでした。中学時代に肺炎となりますが、奇跡的に回復します。その後、慶應義塾に入学。理材科に入り実業家になるために経営学を学ぶ。成績優秀で、創設者であり、塾長の福澤諭吉に才能を見込まれ後継者を頼まれますが、それを振り切って渡米、留学するのです。そこで、キリスト教会に出席、洗礼を受ける。帰国後、伝道者に。中田重治牧師に誘われ、淀橋教会の初代牧師になります。また、東京聖書学校の初代校長になります。バックストン宣教師の生涯にわたる友として、ホーリネスに生きた伝道者、牧者でした。内村鑑三との深い知己を得ます。

伝道者として日本各地に伝道に行くのですが、行く先々で病気になります。医者より健康のために、ぶどう酒を飲むようにとアドバイスを受けるのですが、禁酒を旨としてきた笹尾牧師は、ぶどう酒を口にしませんでした。

 46歳という年齢で召天します。もっと、長生きしたら、日本の教会は変わっていたのではないかと思わせられます。禁酒が原因ではないと思いますが、残念です。

最期に、15、16節をお読みしましょう

 あなたの食べ物について兄弟が心を痛めるならば、あなたはもはや愛に従って歩んでいません。食べ物のことで兄弟を滅ぼしてはなりません。キリストはその兄 弟のために死んでくださったのです。 ですから、あなたがたにとって善いことがそしりの種にならないようにしなさい。

祈ります




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