2023年8月27日 聖霊降臨節第14主日礼拝
聖 書 出エジプト記19章1〜9節
説 教 シナイ山で神が語られたこと
出エジプト記19章において、エジプトを脱出したイスラエルの民は、シナイの荒れ野に到着したこと。そして、主なる神様がモーセに現れ、語られたことが記されます。1節。
イスラエルの人々は、エジプトの国を出て三月目のその日に、シナイの荒れ野に到着した。彼らはレフィディムを出発して、シナイの荒れ野に着き、荒れ野に天幕を張った。イスラエルは、そこで、山に向かって宿営した。
3節には
モーセが神のもとに登って行くと、山から主は彼に語りかけて言われた。
とあります。
エジプトを脱出して3カ月目にシナイの荒れ野に着き、シナイの山で神がモーセに語りかけられたのです。語られた言葉は、3節から6節ですが、そのおもな内容は3点あります。
第一は、4節にエジプト脱出してこの2か月間、「神はあなたたちを鷲の翼に乗せてわたしのもとに連れてきた」こと。
第二は、5節「わたしの契約を守るならば、あなたたちはすべての民の間にあってわたしの宝とする」ということ
第三は、「あなたたちは、わたしにとって祭司の王国、聖なる国民となる」ということ。この3点です。
このことを念頭において、以下3つのポイントで説教します。
1.シナイ山で神が語られたことー神のことばの成就
神がはじめてモーセに現われ、語られたことは3章に記されています。
出エジプト記3章 燃える柴の中から語られた神の言葉の成就ですね。3章では、神はご自身のお名前をモーセに啓示されました。14節「わたしはある。わたしはあるという者だ」と。これが神様のお名前です。神聖4文字。יהוה。(神学的に「ヤハウェ」と読まれます)
そのお方がモーセに語られた言葉 12節です。
「あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたたちはこの山で神に仕える」
エジプトを脱出して3月目にシナイ山のふもとに着き、そこで再度、神はモーセに現れられたのです。それが本日の19章です。
シナイ山で、最初はモーセに現れた神は、モーセを遣わし、エジプトを脱出させると約束された。そして、この山で導かれた民を仕えさせる。仕えるとは神を礼拝することです。
それが成就したのです。
二番目に「契約を守るなら」とあります。
アブラハム、イサク、ヤコブの神として神は顕現されました。アブラハムには、創世記15章13節と言われています。
「よく覚えておくがよい。あなたの子孫は異邦の国で寄留者となり、四百年の間奴隷として仕え、苦しめられるであろう。しかしわたしは、彼らが奴隷として仕えるその国民を裁く。その後、彼らは多くの財産を携えて脱出するであろう。」
そのように、アブラハムの死後、イサクとヤコブのあとにエジプトで400年の間、奴隷として苦しめられたのです。神はモーセを通して、エジプトを脱出に導かれ、文字通り、イスラエルの民を鷲の翼に乗せて安全にこのシナイ山にまで導かれたのです。
三番目の神の宝、祭司の王国、聖なる国民となるについて、これもアブラハムの契約でもあります。創世記12章2,3節 神はアブラハムに約束されました。
「わたしはあなたを大いなる国民にし、あなたを祝福し、あなたの名を高める。祝福の源となるように。あなたを祝福する人をわたしは祝福し、あなたを呪う者をわたしは呪う。地上の氏族はすべて、あなたによって祝福に入る。」
祭司の役割は、祝福を祈ることです。とりなしです。祝福の源となる。これが祭司です。
イスラエルの民が祭司となり、全世界の人々の祝福の源となる。これが神のご計画でした。
2.出エジプトの意味 神のご計画
必要なことがあります。民族形成、国家形成に必要なことです。それはまた、祭司として必要なこと。聖なる民、祭司の国として必要なことです。同時に、それは、すべての民の模範となることです。法治国家に必要なこと。憲法と法律です。十戒、律法そして祭儀(祭壇と至聖所)における神礼拝です。
3月26日 出エジプト記12章37~51節 説教 「まだ先が長い」で申し上げたこと。神の救拯史です。救いの計画と実現の推移が聖書に順番に記されます。
創世記 アブラハム 個。神の民の始め (イサク、ヤコブ、ヨセフ 部族)
出エジプト記 モーセとアロン 400年 イスラエル民族の成立 神の民の成立
レビ記 神とイスラエル 聖別 幕屋での礼拝 神の民の聖別
民数記 40年の荒れ野(イエス様の40日) 試練と忍耐 神の民の試練
申命記 祝福と呪い 決断 神の民の自立
ダビデ王朝 国家の成立(神の国の模型、予表)
イエス様の十字架の贖い、復活、昇天、再臨 神の国の実現、世の終わり
それは、もう一度申しますが、国家としての定めがあることです。国を治めるための基本的な定めです。それは憲法であり、法律です。この定めによって、国が治められ、国家として築かれていくのです。それは、十戒、律法という形で現れます。神を礼拝する儀式の明文化です。祭壇と至聖所を中心にした幕屋、のちに神殿礼拝。これが、神への信仰を根底とした国家形成です。
さてエジプトを脱出したイスラエルの民は出エジプト記、レビ記、民数記と続きますが、実は、出エジプト記19章からレビ記、民数記の10章まで約一年の期間の出来事です。
シナイ山に到着し、モーセに対して神は、十戒はじめ律法と礼拝の儀式の制定および幕屋(神殿)の構造や聖具にいたるまで、神は指示されるのです。とくに祭壇と至聖所を中心として幕屋、神殿についての具体的な指示です。
出エジプト記19章1節 最初に読みましたが、再度、目を通しましょう。
イスラエルの人々は、エジプトの国を出て三月目のその日に、シナイの荒れ野に到着した。彼らはレフィディムを出発して、シナイの荒れ野に着き、荒れ野に天幕を張った。イスラエルは、そこで、山に向かって宿営した。
この宿営の期間は、1年に及びます。この一年で十戒、律法の授与、神殿(幕屋)建設のための材質、祭壇はじめ聖具の指示があり、幕屋建設へと進むのです。同時に、民はマナと岩から流れる水、時々神が送ってくださるウズラなどの鳥の肉を食べていのちを得ていたのです。
民数記10章11節になります。
第二年の第二の月の二十日のことであった。雲は掟の幕屋を離れて昇り、イスラエルの人々はシナイの荒れ野を旅立った。雲はパランの荒れ野にとどまった。彼らは、モーセを通してなされた主の命令によって、初めて旅立った。
ここでシナイ山を出発するのです。こうして、乳と蜜の流れるカナンの地へと進むのです。しかし、民の反逆や不平不満、呟きが起こり、すぐに目的地に着くことなく、40年実際は39年かかるのです。世代交替するのです。
(祈祷会では、レビ記を学び、いまは民数記を学んでいます。)
3.神のご計画 乳と蜜の流れる地に導く
行き当たりばったりではない。永遠の神のご計画、み旨がなされるのです。
アブラハム、イサク、ヤコブの神は、イエス・キリストとして受肉された。
神の救いの計画。イスラエルは祭司の民、祭司の王国との役割を担うことなく、キリスト者、教会がその務めを負うように変えられたのです。
イエス様の十字架と贖いの福音ですね。それはモーセの律法を完成するため。一点一画も廃ることはない。人を活かす、永遠のいのちとしての役割を教会が担うことになったのです。キリスト者こそが、祭司の民となり祭司の王国を築き、神の国を待ちのぞむ役割を与えられたのです。
福音宣教として、祭司の民、祭司の王国を形成するのです。ここに新約に生きる教会の恵みと祝福があります。感謝し、わたしたちに託された務めを全うしましょう。
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