2023年9月17日 聖霊降臨節第17主日礼拝
説 教 神の奥義の啓示
2020年9月6日に第1回のローマの信徒への手紙の連続講解説教を始めました。 ローマ書1章1~7節から説教題「キリストのしもべ」でした。それから3年、月2~3度のペースでローマ書の礼拝説教を行いました。本日は最後の章と節です。64回となりました。
25節から再度、お読みします。
神は、わたしの福音すなわちイエス・キリストについての宣教によって、あなたがたを強めることがおできになります。この福音は、世々にわたって隠されてい た、秘められた計画を啓示するものです。
その計画は今や現されて、永遠の神の命令のままに、預言者たちの書き物を通して、信仰による従順に導くため、すべての異邦人に知られるようになりました。
この知恵ある唯一の神に、イエス・キリストを通して栄光が世々限りなくありますように、アーメン。
この段落は、手紙の最後、結びの挨拶です。一般にわたしたちが手紙を書くとすれば、日本なら「拝啓」となり、挨拶の言葉が続きます。季節に関する文が多いですね。手紙の結びは、「敬具」、「ごきげんよう」とか「ご多幸を祈ります」などでしょうか。
聖書には、手紙が多数あります。このローマの信徒への手紙、コリントの信徒への手紙一と二、ガラテヤ書、エフェソ書、フィリピ書と続くのですが、どの手紙も挨拶の言葉から始まります。そして、結びのことばは、祈りで終ります。ご多幸を祈ります。健康を祈ります。聖書の手紙は、祈りですが、それは祝福の祈りですね。「神の恵みと祝福がありますように」です。
ローマの信徒への手紙の結びもまた、祈りです。先に挙げたコリント、ガラテヤ、エフェソ他の手紙も祈りと祝福、頌栄で終わります。素晴らしいですね。喧嘩腰でも、呪いでもない。神の祝福を祈り、神を称える言葉で終る。小見出しに「神への賛美」とあります。わたしたちの礼拝における「頌栄」です。礼拝は「頌栄」から始まり、「頌栄」で終る。賛美礼拝です。これが霊とまことをもって神を礼拝する「礼拝式」でもあるのです。聖書の聖書たるゆえんです。
この結びのことばで、三つの言葉が注目されます。そのことを注意いたしましょう
1.わたしの福音
第一は、わたしの福音ということ言葉です。25節
神は、わたしの福音すなわちイエス・キリストについての宣教によって、あなたがたを強めることがおできになります。この福音は、
ですね。
「わたしの福音」とは何でしょうか。福音はパウロの所有物なのでしょうか。これは説明が難しいですね。福音とは、イエス様の十字架に関する事柄です。救い、義とされること、十字架と復活、贖い、聖霊が降臨された、そして教会が建てられたこと。福音書に書かれてあるイエス様のすべてが福音です。
ローマの信徒への手紙2章16節にも「わたしの福音」という言葉があります。
そのことは、神が、わたしの福音の告げるとおり、人々の隠れた事柄をキリスト・イエスを通して裁かれる日に、明らかになるでしょう。
そこには、異なる福音があるということです。コリント 一 15章では、パウロが宣べ伝えた福音を強調しています。お読みしませんが、礼拝後、お家に帰っておさらいしていただければと思います。15章1節、2節。また、ガラテヤ書ですね。1章では、ほかの福音、わたしが宣べ伝えた福音と反する福音が語られていると警告しているのです。(1章6~12節) それは何か。律法主義です。信仰による義ではなく、行いによる義です。とくに、割礼を受けることを核とした律法主義を言います。ユダヤ教です。
現代では、異端、統一協会、エホバの証人のようなカルトですね。
2.秘められた計画、奥義 神秘
二つの目の言葉は、「秘められた計画」という言葉です。25節
この福音は、世々にわたって隠されていた、秘められた計画を啓示するものです。
福音とは、イエス様の救いのみわざすべてが福音と申しました。この福音こそが、「秘められた計画」だと手紙の結びで語るのです。(この25節は、ローマ書全体の要約であり、結論だと言えるでしょう)
「秘められた計画」とは、別の翻訳聖書では「奥義」(文語訳、口語訳、新改訳)、「神秘」(カトリック)、「秘儀」(聖書協会共同訳)と訳されています。(個人的で恐縮ですが、「神の国の奥義」と題した説教集を10年前に刊行しました)
ギリシャ語原典では、μυστήριον(ムステーリオン)英語mystery(ミステリー)に派生していきます。ギリシャ語の意味は、隠されたもの、神秘です。
エフェソの信徒への手紙 3章9節
すべてのものをお造りになった神の内に世の初めから隠されていた秘められた計画が、どのように実現されるのかを、すべての人々に説き明かしています。
3.啓示
ἀποκάλυψις(アポカリュプシス)英語 revelation 啓示、
開示、顕現、見えるようになる。隠されていたものが開示される。黙示録、啓示。
代々に亘って隠されていたこと(真理)が神のみ旨により、開かれる。ヴェールに蔽われていたものが取り除かれ、真理が明らかになる。
しかし主に向く時には、そのおおいは取り除かれる。(Ⅰコリント3章16節、口語訳)
奥義とは天地創造の神、霊なる神が人間の肉をまとい、人間となられた。救い主イエス・キリストです。そのイエス様がすべての罪を引き受けて、十字架にかかられ死に葬られます。しかし、三日目に甦られるのです。罪と死に勝利されました。そして、神の霊である聖霊が降臨され、教会が誕生したのです。教会は聖霊を受け、聖霊の助けにより、福音を宣べ伝える使命を与えられたのです。キリストの再臨、世の終わりまで、福音が宣教されるのです。神が代々に亘り、教会と共におられます。信じる者すべてに聖霊を与えられるのです。
ハレルヤ! 御名が崇められんことを。
パウロはローマの信徒への手紙を15章まで書き終えると、16章で挨拶のことばを付け加えます。そして、祝祷と頌栄、神を賛美することで最後の結びとするのです。
27節を読みましょう。
この知恵ある唯一の神に、イエス・キリストを通して栄光が世々限りなくありますように、アーメン。
祈ります。
コリント 第一の手紙 15章1節
兄弟たち、わたしがあなたがたに告げ知らせた福音を、ここでもう一度知らせます。これは、あなたがたが受け入れ、生活のよりどころとしている福音にほかなりません。
15章2節
どんな言葉でわたしが福音を告げ知らせたか、しっかり覚えていれば、あなたがたはこの福音によって救われます。さもないと、あなたがたが信じたこと自体が、無駄になってしまうでしょう。
ガラテヤ書
1章 6節
キリストの恵みへ招いてくださった方から、あなたがたがこんなにも早く離れて、ほかの福音に乗り換えようとしていることに、わたしはあきれ果てています。
7節
ほかの福音といっても、もう一つ別の福音があるわけではなく、ある人々があなたがたを惑わし、キリストの福音を覆そうとしているにすぎないのです。
8節
しかし、たとえわたしたち自身であれ、天使であれ、わたしたちがあなたがたに告げ知らせたものに反する福音を告げ知らせようとするならば、呪われるがよい。
9節
わたしたちが前にも言っておいたように、今また、わたしは繰り返して言います。あなたがたが受けたものに反する福音を告げ知らせる者がいれば、呪われるがよい。
11節
兄弟たち、あなたがたにはっきり言います。わたしが告げ知らせた福音は、人によるものではありません。
12節
わたしはこの福音を人から受けたのでも教えられたのでもなく、イエス・キリストの啓示によって知らされたのです。
2.奥義 神秘 秘められた計画
エフェソ1:9「秘められた計画」 11「御計画」
3:3 秘められた計画をわたしたちに知らせてくださいました。これは、前もってキリストにおいてお決めになった神の御心によるものです。
9節
すべてのものをお造りになった神の内に世の初めから隠されていた秘められた計画が、どのように実現されるのかを、すべての人々に説き明かしています。
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